兵庫県豊岡市にある有子山城。
山名氏が居城としていた此隅山城が落城した為、1574年に山名祐豊が築城した山城です。
此隅が子盗を連想し嫌った為、有子と名付けられたと云われています。
1580年に織田家の羽柴秀長が但馬に侵攻し、有子山城は落城しました。
羽柴秀長が入城した後、1585年に前野長康が入城しますが、豊臣秀次事件に連座していた為、改易となります。
播州龍野から小出秀政が入城し、江戸時代に子の吉英が麓に出石城を築城した為、廃城となります。
現在は此隅山城と共に国の史跡に指定され、主郭や第二曲輪、第三曲輪の石垣、千畳敷の堀切などが残され見どころとなっています。
有子山城・基本情報、アクセス
所在地:〒668‐0256 兵庫県豊岡市出石町小人1
城 主:山名氏、前野氏、小出氏
形 式:山城、連格式
文化財史跡:国指定史跡
続日本100名城スタンプ:いずし観光センター
有子山城・駐車場
有子山城の山麓にある出石城の北側に「大手前駐車場」があります。
45台程停められる有料駐車場で、1回500円となっています。トイレも完備しています。
また、「大手前駐車場」の東側に「出石支所南駐車場(60台程)」、出石城の西側に「西の丸市営駐車場(55台程)」、出石城の北側城下町エリアに「鉄砲市営駐車場(65台程)」があります。
有子山城・御城印
有子山城 御城印(特別版)
有子山城の御城印が販売されています。
「いずし観光センター」で1枚300円(通常版)で購入する事が出来ます。
この場所では出石城の御城印も販売されています。
有子山城・縄張り図
有子山城は標高321mの有子山山頂部に築かれている山城です。
山頂部から西側の尾根に階段状に曲輪が連なり、石垣が築かれています。
主郭の東側には堀切を隔てて千畳敷と呼ばれる東西135m、南北50mの広大な曲輪があります。
有子山城・登山道
登山口
出石城の稲荷郭の西側に有子山城の登城口があります。
有子山城の石碑と有子山登山のルートや、所用時間が書かれた案内板が設置されています。
登山口から有子山城主郭までは片道45分~60分、往復1時間45分~2時間程掛かります。
登山口から2/3程まではひたすら急坂が続き、残りの1/3は緩やかな道となっています。
登山道はかなり急な坂道が続きます。
案内板には初級から中級と書かれていますが、かなり体力を使うのでしっかりとした準備が必要になります。
所々岩肌部分もありロープが張られている場所もあるので、注意が必要です。熊も目撃されているようなので熊対策も必要です。
土橋、堀切
登山道の途中には土橋と堀切が築かれています。
土橋の両側は堀切が築かれ谷を落ちて行っています。土橋は人がひとり渡れるだけの幅なので、滑落しないようにロープを持って慎重に進むと良いでしょう。
有子山城・北第六曲輪
登山道の急坂をひたすら登って行くと北第六曲輪があります。
ここまでくればあとは緩やかな道なので、一安心です。ベンチが設置されているので休憩すると良いです。
有子山城・第六曲輪
石垣
第六曲輪は石垣が築かれた曲輪となっています。
登山道を登って来て山頂付近に築かれた石垣を目にすると、登ってきた甲斐があったと思います。
第六曲輪の石垣は高さが1~2m程で、自然の石を利用した野面積みと思われます。
石垣がネットで保護されているので少し見えづらいですが、崩れてしまう訳にはいかないのでしょうがないですね。
有子山城・第五曲輪
第六曲輪の一段上に第五曲輪があります。第五曲輪にも少し石垣が残されています。
第五曲輪の看板には侍屋敷と書かれているので、屋敷が建てられていたのでしょうか。
有子山城・第三曲輪
石垣
第四曲輪から第三曲輪の石垣を見る事が出来ます。
第三曲輪の石垣は高さが3~4m程はあるかと思われ、隅部は鈍角となっています。
第三曲輪の石垣は高さもあり築かれている範囲も広い為、見応えがあり見どころです。
第四曲輪から千畳敷に行く道があり、この道からは第三曲輪の長大な石垣を見る事が出来ます。
所々苔生しながら奥に向かって延びる石垣は壮観です。よくこの山頂部にこれだけの石垣を築いたなぁと思います。
有子山城・第二曲輪
第二曲輪は主郭の目前にある曲輪で、虎口跡が残されています。
虎口は右、左へと折れて行き、第二曲輪へと到達します。第二曲輪は少しだけ石垣が残されています。
有子山城・主郭
石垣
第二曲輪から主郭の石垣を見る事が出来ます。
石垣は高さが3~4m程あり、主郭の北側と西側に良く残されています。
主郭の西側には石段があり、天空の城に誘われているようです。
主郭の北側の石垣は途中で出っ張った部分がありますが、横矢を意識したというよりも強度を高める為でしょうか?
隅部は長辺と短辺が交互に組み合わされていますが、まだまだ未成熟な算木積みとなっています。
標高321mの山頂付近に築かれた主郭の石垣は、視界を遮るものがなく壮観で見どころです。
主郭内部
主郭は千畳敷に次ぐ広さをもつ曲輪で、現在は四阿と有子山城の説明板が立てられています。
主郭の周りは木が伐採されているのか、視界を遮るものがなく周囲を見渡す事が出来ます。
南側には土塁跡と思われる土の高まりが残されています。
景色
主郭の北側からは出石城の城下町を一望する事が出来ます。
城下町の西側には出石川が流れ、南側、東側、北側の三方は山に囲まれた様子が分かります。
主郭から見た出石城下町は壮観で、有子山城の見どころのひとつとなっています。
有子山城・千畳敷
堀切
主郭と千畳敷の間には堀切が築かれています。
堀切は深さが10m、幅は10m以上あるかと思われる大規模なものとなっています。
主郭と千畳敷の間に築かれた堀切は有子山城最大級で迫力があり、見どころです。
千畳敷内部
主郭の南東側に千畳敷があります。
千畳敷は東西135m、南北50mの広さで有子山城で最も広大な曲輪で、段差が設けられ3ヵ所程に分かれています。
武家屋敷跡と書かれた案内板があり、真っ二つに割れた大きな石が鎮座しています。
有子山城・石取り場
堀切
第六曲輪から北西に延びる尾根上に築かれた第七~十曲輪があります。
分岐点を南側に行くと石取り場へ行くことができ、西方の尾根の堀切を見ることが出来ます。
堀切は深さが4~5m、幅が6~7m程あり、有子山城の西側の防備も抜かりない事が伺えます。
石材(矢穴跡)
石取り場には石を割る時に出来る矢穴跡が付いた石が複数あります。
山中から石を現地調達していた事が分かり、築城の様子の一端を垣間見る事が出来ます。
まとめ
【有子山城の見どころ】
・山頂部の視界を遮るものがない場所に築かれた、高さ3~4m程の壮大な主郭の石垣
・標高321mの主郭北側から一望できる絶景の出石城下町
・第三曲輪の苔生した隅部が鈍角で長大で大規模な石垣
・主郭と千畳敷の間に築かれた有子山城最大級の迫力ある堀切
ウェブサイト:有子山城跡
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