栃木県栃木市にある西方城。
鎌倉時代に宇都宮氏の家臣である西方氏により築城された山城です。
戦国時代には宇都宮氏の最前線基地として重要拠点となりました。
豊臣秀吉により宇都宮氏が下野国から改易されると、結城秀康領となります。
1600年の関ヶ原の戦い後に結城氏が越前国に移封されると、藤田信吉が城主となります。
1615年に藤田信吉が改易されると廃城となります。
現在城跡は国の史跡に指定され、本丸、二の丸などの曲輪跡や、屈曲する竪堀や馬出と横堀、堀切、桝形虎口跡などが残され見どころとなっています。
西方城・基本情報、アクセス
所在地:〒322‐0606 栃木県栃木市西方町本城
城 主:西方氏、藤田氏
形 式:山城、連郭式
文化財史跡:国指定史跡
日本100名城スタンプ:該当なし
西方城・駐車場

西方城の東側に「西方城址専用駐車場」があります。
13台程停められる広さの無料駐車場です。トイレはないので「道の駅にしかた」や「西方総合運動公園」などで利用すると良いでしょう。
西方城・縄張り図

西方城は足尾山地の東側にある標高221mの城山に築かれている山城です。
尾根上の頂部に本丸があり、南北に二の丸や北の丸、南の丸が一直線に並ぶ連郭式となっていて、それぞれの曲輪は堀切(空堀)で区切られ土橋で接続されています。
本丸の東、西側にも曲輪が設けられ、主要部には桝形虎口による横矢が意識された堅固な縄張りとなっています。
西方城・登山道

「西方城址専用駐車場」の奥に西方城の登山口があります。
登山口から本丸までは20~30分程掛かります。登山道は整備されているので、初心者向けの山城となっています。
西方城・北の丸
竪堀

登山道を登って行くと、北の丸の竪堀に繋がっています。
竪堀は途中で折れが設けられていて、南側には土塁があるので現在でも高低差が3m程あります。
登山道がそのまま竪堀となっているので、いきなり見応えがあります。
馬出

北の丸の北側には馬出があります。
馬出は北側から迫る敵に対して築かれていて、コの字型空堀により横矢が掛けられるように工夫されています。
現在でも空堀と馬出の高低差がハッキリと分かり、堅固な縄張りであった事が体感できます。
北の丸北側の馬出と深い空堀は、技巧的であり遺構が良好に残されていて見どころです。
堀切

北の丸と馬出の間には空堀が築かれています。
空堀は竪堀と繋がっていて、堀底と北の丸との高低差は4m程あるかと思われます。
北の丸内部

北の丸は西方城の北側にある細長い曲輪です。
外周部は土塁で囲まれていて、現在でも西側と北側の土塁が良好に残されています。
北の丸の西側の土塁上には櫓跡があり、西側の防備を担っていたと思われます。
虎口跡

北の丸の南側に虎口跡があります。
虎口は土塁により右、左へと折れ曲がるように通路が造られ、曲輪内部側から横矢が掛けられ様になっています。
現在でも土塁により折れ曲げられた虎口の様子が分かります。
西方城・三の丸
土橋

北の丸と三の丸(南側の曲輪)の間には土橋と堀切が築かれています。
土橋は堀切を造る際に堀残して造られたもので、両側の堀切は深さが4~5m程あり迫力があります。
北の丸の屈曲する虎口の直ぐ先にこの土橋と堀切が築かれていて、見応えがある場所となっています。
三の丸内部

三の丸は二の丸と北の丸の間にある曲輪です。
※現地の案内板には三の丸とは明記されていませんが、紹介する上で不便なので勝手に命名しています。
三の丸は北の丸よりも小さな曲輪で、西側に高さ1~2m程の土塁が残されています。
景色

三の丸の東側は視界が開けた場所があり、景色を楽しめます。
西方の広大な平地に田んぼや畑が広がっていて爽快感があります。
西方城・二の丸
堀切

二の丸と三の丸の間には堀切が築かれています。
堀切により両曲輪間が分断されている様子が分かり、二の丸側の虎口はやや折れ曲がっています。
空堀

二の丸と三の丸の間の堀切(空堀)は深さが6~7m、幅は頂部で10m程はあるかと思われます。
二の丸と三の丸の間の堀切は、西方城で最大級の空堀で迫力があり、見どころです。
二の丸内部

二の丸は本丸の北側にある曲輪です。
本丸の東側にも曲輪があり、そこも合わせて二の丸となっているのかも知れません。
西方城・本丸
土橋

本丸と二の丸の間には土橋があります。
現在は風雨により遺構がほとんどなくなっているような印象を受けます。
本丸内部

本丸は西方城で最も標高が高い場所にあります。
現在でも外周部の全周に高さ2~3m程の土塁が残されていて、他の曲輪とは違う事が感じられます。
桝形虎口跡

本丸の南側には空堀の先に小さな曲輪があり、その先に桝形虎口跡があります。
桝形虎口は東側、南側、西側からの合流地点に位置する重要な場所に位置しています。

土塁によりどの進入路からでも折れ曲がった通路となっていて、横矢が掛けられるようになっています。
本丸方面にかけて高低差が高くなっているので、守備側は守り易く、攻城側が攻め辛くなっています。
本丸南側の桝形虎口は土塁により複雑に折れ曲げられていて、技巧的で見どころです。
西方城・南の丸
南の丸内部

南の丸は本丸の南側にある曲輪です。
西側と南側に土塁が残されていて、更に南側の一段下側にも曲輪が築かれています。
空堀

南の丸の北側の虎口の横に空堀があります。
空堀は深さが3~4m程あり、この虎口の先は桝形虎口が築かれたエリアとなっています。
西方城・東の丸
東の丸内部

東の丸は西方城の東側にある大きな曲輪です。
東の丸の更に東側にも曲輪があり、西方城の広大さが感じられます。
桝形虎口跡

東の丸の西側に桝形虎口跡があります。
桝形虎口の前面には空堀が築かれていて、土塁により四角い桝形の空間が形成されています。
東の丸から迫る敵に対して備えられた虎口で、現在でも当時の桝形の空間が分かり、見どころとなっています。
まとめ

【西方城の見どころ】
・北の丸北側の馬出のコの字型に築かれ良好に残る空堀
・北の丸南側の屈曲する虎口跡と直後の土橋と深い堀切
・二の丸北側の深さ6~7m、幅10m程の西方城最大級の空堀
・本丸南側のどの方面からでも横矢から掛けられるように造成された桝形虎口
・東の丸西側の空堀と土塁により桝形の空間が残されている虎口
ウェブサイト:西方城・二条城址‐栃木市観光協会
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