熊本県八代市にある八代城。
1620年に熊本藩2代藩主の加藤忠広は幕府の許可を得ると、球磨川の河口に築城する事を決めます。
1622年に完成し、一国一城令の中で熊本藩が二城の存在が許可された事は珍しい事でした。
1632年に加藤忠広は改易されると細川忠利が熊本城へ入城すると、父である細川忠興は八代城に入り、北の丸を隠居所とします。
1646年に細川光尚は島原の乱で活躍し、家臣である松井興長を八代城とすると、以後明治維新まで代々松井氏の居城となります。
本丸には大小の天守台と8つの櫓、本丸御殿が築かれていましたが、1672年に落雷により天守は焼失してしまいます。
天守は再建されることなく、北東隅の三重櫓が城内で最も高い建物となります。
現在では国の史跡に指定され、本丸の天守台を始めとする石垣や水堀が残され見どころとなっています。
八代城・基本情報、アクセス
所在地:〒866‐0862 熊本県八代市松江城町7‐34
城 主:加藤氏、細川氏、松井氏
形 式:平城・輪郭式
文化財史跡:国指定史跡
続日本100名城スタンプ:八代市博物館未来の森ミュージアム(改修中)
八代市民俗伝統芸能伝承館(お祭りでんでん館)
八代城・駐車場
八代城の本丸北東側に「八代城跡公園駐車場」があります。
23台程停められる広さの無料駐車場です。トイレは本丸内にあります。
八代城・続日本100名城スタンプ
続日本100名城のスタンプは「八代市博物館未来の森ミュージアム」に設置されていますが、現在は改修中で利用する事は出来ません。(2024年7月~約2年間改修工事)
そのため、現在は「八代市民俗伝統芸能伝承館」(お祭りでんでん館)に設置されているので、こちらで押しましょう。
【八代市民俗伝統芸能伝承館(お祭りでんでん館)】
所在地:〒866-0863 熊本県八代市西松江城町1-47
開館時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
入館料:無料
休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始(12月29日~1月3日)
ウェブサイト:八代市民俗伝統芸能伝承館(お祭りでんでん館)
八代城・縄張り図
八代城は球磨川の徳渕の北側に築かれています。
本丸と中心取り囲むように東、南側には二の丸、南西側に三の丸、北側に北の丸、北東側に出丸が配置されています。
本丸の周りには内堀、二の丸、三の丸、北の丸の周りには外堀が築かれ、城は南北に811m、東西1477mの規模があります。
城下町には薩摩街道が通り、南の前川には徳渕の津があり、海と陸の交通の要衝に位置しています。
八代城・本丸
宝形櫓跡・内堀
本丸の周りは水堀が築かれています。
幅は20~30m程あり、本丸側の郭は全て石垣が積まれていて、お城の雰囲気を感じられます。
本丸南東隅には宝形櫓という宝形造りの屋根の二重櫓が建てられていました。
宝形櫓下の石垣は隅部が綺麗な算木積みで、八代城で最も進化した技術で積まれた石垣となっています。
表桝形門跡
本丸に東側には表桝形門跡があります。
表桝形門は本丸の正門になります。当時は堀に木造の欄干橋が架けられていて、橋の先には高麗門が建てられていました。
この高麗門は現在、本成寺に移築され市の有形文化財に指定されています。
高麗門の先は石垣で四角い空間、桝形が築かれていて、横矢が掛けられるようになっています。
当時は桝形を右に曲がると頬当御門という櫓門が建てられていました。
本丸東側の表桝形門は現在でも壮大な石垣で桝形の空間が残されていて、八代城の威容が感じられ見どころです。
月見櫓跡
本丸の南西隅には月見櫓跡があります。
月見櫓は二重の櫓で初層に唐破風付きの石落としが設けられていました。
八代宮
本丸には八代宮が建立されています。
当時は大書院が建てられていて、儀礼や賓客の接待が行われていました。
1870年の廃城後には二の丸に移され、事務所や学校として利用されていましたが、昭和時代に焼失してしまします。
現在でも八代城の井戸跡が残されています。
小天守跡
本丸の北西側に小天守跡があります。
小天守は東西9間、南北4間半の二重二階地下一の櫓で、渡櫓により大天守と繋がっていました。
当時は小天守北側の石段を登り小天守地階に入り渡り櫓を通って、大天守の地階に入りました。
小天守の石垣は大天守に次ぐ規模の石垣で、見どころです。
大天守跡
本丸の北西隅に大天守跡があります。
大天守は四重四階地下一階の櫓で、東西10間、南北11間と八代城の最も高い建物でした。
1672年の落雷により小天守と共に焼失してしまいます。
大天守の石垣は高さが15mと八代城で最も高く、大規模なものとなっています。
大天守の石垣は八代城内で最も古い技法である野面積みで積まれていますが、隅部は大きな石材が使用されています。
大天守の石垣は高さが15mと迫力があり、八代城一番の見どころです。
廊下橋門跡(北側)
本丸の北側には廊下橋門跡があります。
現在は本丸の南側に橋が架けられていますが、当時はこの北側の廊下橋と東側の欄干橋のみとなっていました。
当時は橋の先には唐人櫓と九間櫓の間に埋御門平櫓があり、厳重な虎口となっていました。
唐人櫓跡
廊下橋を渡った先には唐人櫓の石垣があります。
唐人櫓は東西4間、南北3間の平櫓で、大天守との間に長さ3間の塀が続いていました。
唐人櫓内側の石垣には合坂と云われるV字型の石段が残されています。
九間櫓跡、三階櫓跡
本丸の北側には九間櫓跡があります。
九間櫓は東西9間の平櫓で、東側の三階櫓との間には長さ26間の長塀が続いていました。
本丸の北東隅には三階櫓跡があります。
三階櫓は東西6間、南北5間の三重三階の櫓で大天守に次ぐ高さの建物でした。
八代城・北の丸
石垣
本丸の北側に北の丸があります。
現在でも北の丸東側の折れのある石垣が残されていて、当時の姿を垣間見る事が出来ます。
松井神社
北の丸は細川忠興が書院や茶室、庭園を整備し、隠居所としました。
現在でも庭園跡や細川忠興が自ら植えたと云われる臥龍梅が残されています。
また、松井家再興の祖である松井康之と干拓事業で八代を発展させた興長を祭神とする、松井神社が建立されています。
松浜軒(国指定名勝)
北の丸の西側には「松浜軒」があります。
松浜軒は1688年に八代城主松井直之が生母崇芳院尼の為に建てた茶庭です。
創建当初は庭の向こうに砂浜と松を見る事が出来たため、浜のお茶屋とも呼ばれていました。
庭園には肥後花菖蒲が植えられていて、6月上旬頃に見ごろとなります。
【松浜軒】
所在地:〒866-0865 熊本県八代市北の丸町3-15
開園時間:9:00~17:00(入園は16:30まで)
入館料:一般500円、小中学生250円
休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)、お盆(8月13日~15日)、年末年始(12月29日~1月3日)
まとめ
【八代城の見どころ】
・本丸北西隅の高さ15mにも及ぶ大天守の石垣(天守台)
・本丸北西側の大天守に次ぐ高さの石垣が築かれている小天守台跡
・本丸東側の石垣で桝形空間が良好に残されている表桝形門跡
ウェブサイト:八代城跡|観光スポット|【公式】熊本県観光サイト
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